フォントの始まりは「Macintosh」(マッキントッシュコンピューター)の始まりとほぼ同時と言えます。Macintoshは「Cairo」「London」「San
Francisco」「Venice」「Los Angeles」「Athens」などフォント名に地名がついたオリジナルなものが多く、「New
York」「Chicago」「Monaco」などは現役で活躍しています。「Courier」「Helvetica」「Times」などのスタンダードなものも入っており、こういったデザイン的に優れたフォントを切り替えて使えるというのがMacintoshの最大の魅力の一つでした。また、こうしたフォントはバラエティ、質ともクオリティが高く、最小のフォント数にして最大の効果が得られるという、優れたMacintosh哲学の結晶でもありました。以後のフォントの流れにもこれらのフォントは大きな影響を与え続けることになります。日本語フォントでは付属の細明朝体、中ゴシック体以外にも、しばらく後にゴシック体の「osaka」、明朝体の「kyoto」が発売し日本語の環境にいち早く、対応したのもMacintoshでした。1984年、初代Macintoshの発表と同時にAdobe社によりPostscriptのフォントが公開されました。このフォントは当時画面上でなめらかなフォントを表示することが技術的に困難だったため、スクリーンではギザギザでもプリントアウトするとなめらかなラインになっている様に開発された最新の技術でした。以後フォントメーカー、出力・印刷会社もこれに追随する形で発展していきました。そしてMacintoshでは現在でもPostscript、フォント形式のバージョンアップをくり返し商業印刷業界の標準の地位を築いています。
そのAdobe社のPostscript形式に対抗するため91年に、マイクロソフト社とアップル社の共同開発によって作られたのが「TrueType」フォントです。TrueTypeはプリンタ側にフォントがなくても印刷ができ、フォントデータのアウトライン化ができるなど、たいへん利便性の高いフォントでした。Windows95の標準の仕様ということもあって瞬く間に一般家庭に普及しました。ところが、大手フォントメーカー、出力・印刷会社はフォントのコピーが簡単にできる、出力に時間がかかる、高解像度の出力が出来ないなど、様々な誤解・行き違いから二の足を踏んでいました。普及すると思われたWindows
DTPでしたが、思わぬ障害につまづいてしまいました。そうしている間にAdobe社とマイクロソフト社の共同開発により「TrueType」と「Postscript」の良いところを足して作られた「OpenType」フォントと言う形式が96年に発表されました。この形式はWindows2000以降のWindows
OS、Mac OS X以降に標準で入っておりOS間を意識することなく使用でき、いままで問題になってきた部分も改善した夢のような新フォント形式です。しかし現在の所、ソフトメーカー、出力・印刷所ともに未対応の所が多いのが現状です。
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